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貧血があると、将来、認知症を発症する可能性が高くなる?(3)

二つの論文を紹介しました。貧血があると、認知症を発症するリスクが確かに高くなりそうです。紹介した論文は疫学研究なので、貧血があると認知症の発症リスクが高くなる原因は明らかにしていません。
貧血が認知症のリスクとなる要因として、以下の可能性が示唆されています。
1)貧血があると脳への酸素供給量が減少し、その結果、脳代謝に障害が起こる可能性。
2)酸素欠乏を補うために脳への血流が増加するため、脳細胞により多くの毒素が送達される可能性。
3)鉄欠乏性貧血や腎性貧血では、脳細胞への酸化ストレスを引き起こし、脳の老化を促進する可能性。
4)貧血がうつ病を引き起こす要因となり、うつ病自体は認知症の危険因子である。貧血がうつ病を引き起こした結果、認知症を発症する可能性。
5)疲労は貧血の症状であり、疲労は運動不足の原因となる。運動不足の結果、認知症のリスクが増加する可能性。その他にも多くの可能性が挙げられています。

健康診断で貧血を指摘されることがあれば、内科、血液内科を受診することをお勧めします。
すべての貧血を良くすることができるわけではありませんが、鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、腎性貧血などは改善できます。貧血の治療をすれば、その症状を改善するだけでなく、認知症のリスクを減らすことが出来そうです。

文責 東郷かみや内科・血液内科・がん内科院長 神谷悦功 愛知郡東郷町春木塩田1812