転移性RCC患者における標準的な一次治療に対するCBM588の上乗せ効果を検討する第1相試験(NCT05122546)です。合計30人の患者が、カボザンチニブ/ニボルマブ/CBM588またはカボザンチニブ/ニボルマブに2:1で無作為に割り付けられ、CBM588(80mg)は1日2回投与されました。
この試験の主要評価項目は、ベースラインから12週目までのビフィズス菌種の変化であり、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率(RR)、毒性でした。
結果です。ベースラインから12週目までのビフィズス菌種の相対量には、対照群、CBM588を併用した群ともに統計学的に有意な差は観察されませんでした。ですので、この試験のエンドポイントは達成しませんでした。しかし、副次的評価項目であるPFS中央値は、対照群と比較して実験群で有意に改善しました。(未到達 vs. 5.8ヵ月(P=0.042))。さらに、奏効率もCBM588群で改善しました(56% vs. 25%)。
毒性については両群間に差はみられませんでした。
この試験は第1相試験であるので、この試験結果から結論を導くことはできません。CMB588を投与した方が免疫療法の効果が高くなる可能性が示されましたが、その原因はビフィズス菌が増えることではなさそうです。CBM588がなんらかの影響を腸内細菌叢へ与え、腸内細菌叢から免疫力があげる効果が得られたと考えるのでしょうか。近年、腸内細菌叢に関する知見がふえているので、注目していきたいと思います。
文責 東郷かみや内科・血液内科・がん内科院長 神谷悦功 愛知郡東郷町春木塩田1812