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貧血があると、将来、認知症を発症する可能性が高くなる?(2)

前回はイスラエルの研究を紹介しました。今回はシステマティック・レビューとメタ・アナリシスを行った研究を紹介します。( 2021 Jun; 11(6): 777.)

この論文では、EMBASE、PubMed、Web of Science などの電子データベースで、1990年1月1日から2020年6月1日までに発表された観察研究および臨床試験を検索し、レビュー、letter to editors、短いレポートおよび被験者が50人未満の研究は解析の対象から除外しています。その結果、6,558 人の認知症の患者を含む20の論文が解析の対象となりました。貧血の診断はWHOの基準で行われ、男性13 g/dL未満、女性12 g/dL未満を貧血としています。この解析では、貧血は認知症のリスク増加と有意に関連しており、調整後リスク比は1.39 (95% CI、1.25~1.55;p < 0.001)でした。
サブグループ分析では、貧血はすべての認知症のリスク増加に関連しており、アルツハイマー病の調整後リスク比は1.59(95%CI、1.18-2.13; p = 0.002)、軽度認知障害の調整後リスク比は1.36 (95% CI、1.04-1.78; p = 0.02)でした。

最新のメタ分析は、貧血のある患者は、貧血のない患者に比べて認知症を発症するリスクがほぼ1.39倍であることを示しており、貧血は特定の認知症のリスクをあげるのでなく、認知症の全てのタイプのリスクをあげていました。つまり、貧血を放置すると、将来、認知症を発症する可能性が高くなることを示しています。貧血の治療を行うと、倦怠感、息切れ等を貧血の症状を改善することが出来るだけなく、将来の認知症の発症リスクを下げられる可能性を示唆しています。

文責 東郷かみや内科・血液内科・がん内科院長 神谷悦功 愛知郡東郷町春木塩田1812